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2023.10.03 コラム

動脈硬化の原因を理学療法士が徹底解説

加藤 隆三

この記事の監修者

加藤 隆三

理学療法士

動脈硬化原因

動脈硬化は、脳梗塞や心筋梗塞など命にかかわる病気を引き起こす可能性が高いと言われています。病気にならないためにはどうしたらよいのでしょうか?健康な生活を送るためにも、動脈硬化の原因を深く理解することは欠かせません。そもそも、加齢変化によって血管の柔軟性が失われるために動脈硬化は進行していきます。その上で動脈硬化の主な原因としては、生活習慣病である脂質異常症や高血圧、糖尿病などが挙げられます。更に運動不足や肥満、ストレスも血管の健康に悪影響を及ぼし、動脈硬化のリスクを高めます。予防策として、バランスの取れた食事や適切な運動により健康的な生活習慣が重要ですが、具体的に何に気を付けるべきなのかは原因を探ることで見えてきます。この記事では、動脈硬化の原因となる要因を詳しく解説し、健康な生活を送るためのポイントを提供します。自身の健康管理に役立つ情報を得るために、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

目次

動脈硬化とは

動脈硬化という言葉はよく耳にするものの、詳しい病態についてはよく知らないという方も多いかと思いますので、まずは動脈硬化についてお話します。厚生労働省のe-ヘルスネットによると動脈硬化とは、

 ・動脈の血管が硬くなって弾力性が失われた状態
 ・内腔にプラークがついたり血栓が生じたりして血管が詰まりやすくなる

と記されています※1。 動脈の働きは心臓から送り出される血液を全身に運ぶことであり、スムーズに血液を流すため健康な動脈は適度な弾力がありとてもしなやかです。ところが加齢による老化をはじめとした様々な因子の影響で動脈が硬くなり、本来備えていたはずの弾力やしなやかさを損なってしまうことがあります。
動脈が高血圧などなにかしらの原因で傷がつくと、その部位に悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が集積してきます。悪玉コレステロールはやがて酸化、更に血管の壁の傷が障害されるとともに、酸化した悪玉コレステロールを処理しようとマクロファージが集まります。そして酸化した悪玉コレステロールを取り込んだマクロファージは泡沫細胞に姿を変え、血管に蓄積します。これをプラーク(動脈硬化巣)と呼びます。

プラークについて

プラークが増えることで血管が細くなり、十分な血流量が確保できなくなっていきます。また、プラークが増え慢性的な炎症が続くことでプラークの膜が薄く破れやすくなります。プラークが破れると内部の物質が流れ出て血栓を作り、更に血管内の空間は狭くなってしまいます。
また、こういった過程で血管が狭くなるとともに血管の弾力性も損なわれ、血管そのものが硬く、もろくなっていきます。新品のゴムが健康な血管、古くなって硬く伸びなくなったゴムが動脈硬化を起こした血管、と考えるとイメージしやすいかもしれません。
これが動脈硬化が進行していくメカニズムになります。

動脈硬化によって引き起こされる病気

動脈硬化によって引き起こされる病気としては以下が挙げられます。

【脳卒中(脳梗塞/脳出血)】
動脈硬化といえば脳卒中をイメージされる方が多いのではないでしょうか。運動麻痺や感覚障害や失語症など恐ろしい症状を引き起こす脳の病気です。

【心疾患(狭心症/心筋梗塞)】
心臓の周りの動脈が動脈硬化を起こすことで心臓の病気を引き起こします。いずれも命の危険に繋がりかねない危険な病気です。

【腎疾患】
腎臓の血管が動脈硬化を起こすと腎疾患を引き起こします。腎疾患が進行すると人工透析が必要となるケースも少なくありません。

【末梢血管疾患】
足の血管が動脈硬化を起こすことで生じるのが末梢血管疾患です。臀部やふくらはぎの痛みを生じ、症状がひどくなると足の指が壊死し切断を余儀なくされる場合もあります。

動脈硬化の原因と危険因子

高齢者が寝たきりや要介護になる主な原因は脳卒中、認知症、転倒、骨折などが挙げられますが、その発症には動脈硬化が深く関与していると考えられます※2。では動脈硬化になりやすい人はどういった人なのでしょうか。動脈硬化を引き起こす代表的な原因は以下のような生活習慣病であると言われています。

脂質異常症(高コレステロール血症)

脂質異常症は血液中の脂肪分(コレステロールや中性脂肪)が多すぎる、あるいは少なすぎる状態をいいます。以前、高脂血症と呼ばれていた病態も現在では脂質異常症の一部に含まれるようになりました。
脂質異常症は

 1. 生活習慣
 2. 体質的な要因
 3. 他の病気や薬の影響

こういった要因で出現すると考えられていますが、中でも運動不足や偏った食事、肥満などが原因で成人以降に発症することが多いと言われています。

【表1 脂肪分に関与する血液中の数値】

正常値 境界域 異常値
LDLコレステロール 120㎎/dl以下 120~139㎎/dl 140㎎/dl以上
HDLコレステロール 40㎎/dl以上 40㎎/dl以下
トリグリセライド 150㎎/dl以下 150~169㎎/dl 170㎎/dl以上

【LDLコレステロール(悪玉コレステロール)】
働きとしてホルモン生成や細胞膜生成等を担っていますが、過剰になると血管壁に沈着・蓄積し血管壁で炎症を引き起こします。

【HDLコレステロール(善玉コレステロール)】
働きは組織に蓄積したコレステロールの除去や抗酸化、血栓予防、血管内壁の維持などです。総じて動脈硬化を防ぐ作用があると考えられています。

【トリグリセライド(中性脂肪)】
エネルギー源のひとつとして無くてはならない存在ですが、増えすぎるとLDLコレステロールを増やしHDLコレステロールを減らしてしまうため動脈硬化のリスクに繋がります。

これらの数値が異常値を示した場合、脂質異常症との診断がつきます。脂質異常症になると血液中に余分な脂肪分が増え、血液の粘弾性が増し、血流が滞りやすくなるとともに前述したプラークが作られやすくなります。

高血圧症

異なる測定方法における高血圧基準について、高血圧ガイドラインでは以下のように示しています※3。

【表2 異なる測定方法における高血圧基準(高血圧治療ガイドライン2019より)】

収縮期(㎜Hg) 拡張期(㎜Hg)
診察室血圧 ≧140 かつ/または ≧90
家庭血圧 ≧135 かつ/または ≧85

血圧自体は測定する環境による影響を受けやすいため、測定する時間帯や場所、本人の心理的な緊張等により数値が変動します。一般的に収縮期血圧が140㎜Hg、拡張期血圧が90㎜Hgを超える場合は高血圧、高血圧症と判断されます。
ではなぜ高血圧が動脈硬化に繋がるのでしょうか。血圧が高くなると動脈は常に内側から圧を受け、血管壁が張り詰めた状態となります。このような状態が長く続くと血管は次第に肥厚して厚く、硬くなっていきます。弾力が失われ、動脈硬化を起こしやすい環境が整ってしまうのです。

高血圧が及ぼす影響

糖尿病

糖尿病は血液中に含まれるブドウ糖の値、いわゆる血糖値が慢性的に高くなる病気を指します。
通常ひとの身体には、血糖値が上がると膵臓からインスリンという物質が分泌され糖をグリコーゲンや脂肪に変えるという機能が備わっています。そのため食事をした前後もある程度血糖値は一定に保たれています。
しかし、何らかの原因でインスリンの分泌量が低下してしまうと血液内の糖が消費されず残ってしまいます。こういった状態が長く続くと全身の血管に障害が生じ、様々な合併症を引き起こしてしまいます。
中でも、三大合併症と呼ばれる

 ・糖尿病性網膜症
 ・糖尿病性腎症
 ・糖尿病性神経障害

と言った病気は、進行すると失明や人工透析、四肢切断につながる恐ろしい病として知られています。
糖尿病については、血糖値とヘモグロビンA1c(HbA1c)という値から判断されます。基準値については表4をご参照ください。

【表4 特定健診における測定基準】

血糖値(㎎/dl) HbA1c(%)
基準範囲 100未満 5.6未満
保健指導判定値 100~125 5.6~6.4
受診勧奨判定値 126以上 6.5以上

血糖値が増えると血管の内壁を傷つける活性酸素が増加し、傷ついた内壁にはLDLコレステロールや白血球が蓄積します。その過程で血管壁は肥厚し、結果として動脈硬化を引き起こす要因のひとつとなります。

その他の危険因子

動脈硬化を引き起こしやすいその他の危険因子としては、

 ・肥満
 ・喫煙
 ・飲酒
 ・運動不足
 ・睡眠の量や質の低下

などが挙げられます。これらの因子は当然ひとつひとつが動脈硬化の主要な原因となりやすいのはもちろんですが、それぞれが引き起こしやすい生活習慣の乱れや生活習慣病は多くの場合、相互に関係し合っています。結果としてこういったものが先に述べた高脂血症や高血圧症、糖尿病の引き金になるケースが非常に多くなるので常に問題意識として頭の片隅に置いておくことが重要となります。

動脈硬化を予防するには?

動脈硬化の予防において、重要となるのは以下の3つです。

食事

動脈硬化予防食事

基本となるのは栄養バランスを考え規則正しく食事を摂ることです。特に年齢を重ねてくると食事による血管や内臓へのダメージの蓄積は軽視出来ません。

 1. 塩分の過剰摂取は控える
 2. 腹八分目を意識する
 3. ゆっくりとよく噛む
 4. 無理なダイエットやドカ食いは控える
 5. 肉、野菜、魚をバランスよく
 6. アルコールの過剰摂取は控える
 7. 食事時間はできるだけ規則正しく

こういったことは日常の中で意識することで習慣となります。たまに羽目を外す程度なら構いませんが、出来るだけ上記を心掛けるようにしましょう。

運動

動脈硬化予防運動

習慣的な身体活動や有酸素運動は、

 1. 血管内皮機能の改善
 2. 全身の血液循環の促進
 3. エネルギー代謝の向上
 4. 抗酸化力、体力の向上

こういった効果が見込まれ、動脈硬化の予防に非常に有効であると考えられています※4。中々時間が取れないという方は、家事をする際に少し大きく体を動かしたり短時間でも良いのでウォーキング等の軽い運動をする等しながら身体を動かす時間を作ってみましょう。

生活習慣の見直し

動脈硬化予防生活習慣

癖になっている悪癖を見直し、規則正しい生活習慣を身に付けるということは口で言うほど簡単ではありませんが、動脈硬化をはじめ様々な病気の予防や改善において最も重要なことであるというのは紛れもない事実です。

 1. 寝起きの時間サイクルはできるだけ一定に
 2. 規則正しい食生活
 3. 適度な運動
 4. 飲酒や喫煙は出来る限り控える

内容については上記と重複する部分もありますが、こういったことは健康を考える上で基本になります。全てを一度に改善するというのは難しいですが、ひとつずつ手を付けやすい所から改善していきましょう。

関連記事:脳梗塞の予防方法、理学療法士がわかりやすく解説

ストレスも動脈硬化の原因になり得る?

動脈硬化を考える際、実はストレスも軽視できない原因因子のひとつになります。以下ではそんなストレスと動脈硬化の関係性についてお話していきます。
ストレスが血管に与える影響について意外に思われるかもしれませんが、ストレス自体が血管に与える影響というものは決して小さいものではありません。ひとの身体はストレスを受けると体内恒常性を維持するために様々なホルモンを分泌し、自律神経系の働きにより心拍数や血圧、血糖値などの調節を行います。

【表5 ストレスにより分泌されるホルモン】

コルチゾール 糖質、脂質、タンパク質等の代謝促進
アルドステロン 塩分、カリウム、水分のバランス調整
アンドロゲン 男性ホルモンとして合成・分泌(女性はエストロゲン)
アドレナリン

ノルアドレナリン

心拍数の上昇・血圧の上昇・筋肉増強・脂肪の分解促進・消化吸収の制限

中でもコルチゾールやアドレナリンといったホルモンは血糖値や血圧との関連が強く、持続的なストレス状態が続くと高血圧や血糖値上昇へとつながり、動脈硬化症発症の一因になると考えられています。

ストレスホルモンの影響

ストレスケアの重要性

ストレスケア

過剰なストレス状態は、自律神経系のバランスを崩し交感神経が過度に働きすぎるという事態を引き起こします。そうなると血管への負担は増え、動脈硬化症を引き起こすきっかけとなりかねません。血管を良い状態に保つためには副交感神経が適切に機能している必要があります。ストレスの解消(ストレスコーピング)は副交感神経の働きを整える効果がありますので、ストレスの解消(ストレスコーピング)は動脈硬化予防において非常に重要なポイントのひとつになります。以下では具体的なストレス解消法についていくつかご紹介します。

【家族や友人と積極的にコミュニケーションを取る】
ひとりでいる時間は、どうしてもちょっとしたことを考え込んでしまったりネガティブな思考をしがちです。他愛のない話でも構いません。普段より人と話す時間を意識的に確保してみましょう。普段口に出さないような感謝の言葉を伝えてみたり、人の良いところを見つけて褒めてみたり、普段より少しだけプラスの感情を膨らませながら人と会話をすると想像している以上にストレスが減り温かい気持ちになります。

【スポーツやカラオケで声を出す】
深く考えず、とにかく大きな声を出すということもストレス解消には効果的です。日常生活の中では中々大きな声を出すというシチュエーションは少ないかと思いますが、スポーツをする時、あるいはカラオケで歌う際などは自然と大きな声を出す場面もあると思います。恥ずかしがらずに大きな声を出してみましょう。それだけでも気持ちがスッキリします。

【趣味を思いきり楽しむ】
どんなことでも構いません。読書に没頭するのもいいですし、ゲームに熱中したりドライブに出かけたり、自分自身が一番時間を忘れて楽しめることを思いきり満喫してみましょう。気が付けばストレスがずいぶん楽になった、なんて感じるかもしれません。

動脈硬化にならないために

動脈硬化にならないために

医学の進歩が著しいとはいえ、動脈硬化がとても恐ろしい病気であることは変わりません。

動脈硬化にならないためには、原因を理解し、自分に合った予防方法や習慣を身につけることが大切です。皆さんの健やかな生活のため、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

脳梗塞リハビリBOT静岡専属理学療法士への電話相談はこちら

文献1:厚生労働省:動脈硬化|e-ヘルスネット
文献2:横手 幸太郎:日本内科学会雑誌 動脈硬化予防を目指す生活習慣病の管理
文献3:日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会:高血圧ガイドライン 2019
第二章 血圧測定と臨床評価 P19

寺澤 慶大

ライター

寺澤 慶大

理学療法士

急性期脳神経外科病院での10年間の臨床経験をはじめ、デイケア、デイサービス等の介護分野での経験や自費診療、スポーツトレーナー活動など幅広い分野でのリハビリ業務を経験。現在は整形外科クリニックで運動器疾患に悩む患者様のリハビリに携わっている。「病名に捉われず、その人の本質的な運動機能を改善するリハビリを提供する」がモットー。理学療法士としての仕事は「趣味」であり「天職」。多角的な視野や思考を大切に考えており、常に新しい知見や考え方を取り入れながら日々理学療法士としての知識・技術を高めるべく研鑽を続けている。また、世の中の健康リテラシーを高めるためWebライターとしても活動。理学療法士としての知識や経験を元に、医療や介護に関する情報を発信している。
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加藤 隆三

この記事の監修者

加藤 隆三

理学療法士

2012年に常葉学園静岡リハビリテーション専門学校を卒業し、理学療法士免許を取得。資格取得後は整形外科やスポーツ現場、介護サービスにて様々な分野のリハビリテーションに携わる。介護現場ではお客様の生きがいや生活の質を高めることをコンセプトとした生活リハビリの業務に従事する。2018年から脳梗塞リハビリBOT静岡の所長に着任、脳梗塞の後遺症に悩まれている方のリハビリやご家族の支援も行う。また地域リハビリテーションにも力を入れており、介護予防教室を50回以上開催し、自立支援型ケア会議に参加している。その他、福祉用具専門相談員に対する講演や大学教授との共同研究等を行っている。地域の皆さんがいつまでも生きがいを持って生活できるよう、最善のリハビリを提供することを心がけている。

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