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2019.08.20 脳梗塞のリハビリ

脳梗塞と片麻痺 手のリハビリに悪影響を及ぼすこと

加藤 隆三

この記事の監修者

加藤 隆三

理学療法士

目次

麻痺のない側での手の使用

1.麻痺のない側での手の過剰使用

脳梗塞になると手足の麻痺だけでなくバランスが悪くなります。バランスが悪くなると、立つ・座ることが不安定となるため、麻痺のない側の手を使ってバランスをとる(手すり、杖に頼る)ことが多いと思います。麻痺した手の改善を試みる上で、麻痺のない側(非麻痺側)の手でバランスをとることにより、悪影響を及ぼす傾向があります。なぜ麻痺のない側の手でバランスをとると麻痺した手の改善を試みる上で悪影響が生じるのでしょうか?
第一に「手すり、杖に頼りすぎると麻痺側の脚の力がさらに出にくくなる。」といった研究報告があります。脊髄には脊髄固有ニューロンとよばれる神経回路があり、対側(例えば右手と左足)の運動が関連しあっています。つまり、麻痺のない側の手で手すりや杖に頼りすぎると、麻痺した足の支えが弱くなりやすいと言えます。
第二に、「足の支えは、同側(右足なら右手)の手の機能に影響する」と言われています。ヒトが重力に対して体を支えるためには、2つのシステムが大きく関与します。それは体幹を中心に関与する「橋網様体脊髄システム」と、足を中心に関与する「前庭脊髄システム」です。この2つのシステムは協調しあっていて、「前庭脊髄システム」の働きは、「橋網様体脊髄システム」の働きを上乗せして補ってくれます。つまり、麻痺した足の支えが良くなると、麻痺側の体幹の働きがより得られやすくなり、結果、麻痺した手が動くチャンスが増えるということです。
以上のことから、麻痺のない側の手を過剰にバランスで使用することは、麻痺した手の機能改善に悪影響を及ぼすと考えられます。麻痺のない側の手をどのように使うのか?麻痺のない側の手をバランスで使いすぎないためには、何が必要か?という視点でリハビリをすることが、麻痺した手のリハビリに必要です。

PTによる手のリハビリ

2.学習性不使用

「学習性不使用」とは、麻痺側の手足を使用しない状態が長く続くことで、麻痺側の手足を使用しないことを学んでしまい、定着してしまう現象です。脳梗塞発症後から何年も経過している方は、脳自体の損傷によるものと、二次的に生じる学習性不使用によるものとが混在している状態である傾向があります。
片麻痺者にとってさらに厄介なことは、麻痺側の手足を使わないことで、次の3点が起きてしまうことです。

・脳への情報伝達を介在する物質(神経伝達物質)の量・質が低下
・脳への情報伝達するために必要なシナプスの変質
・手足の運動機能を司っていた脳領野の減少
※シナプスとは神経伝達物質を送るための橋のようなものです。

さらに麻痺のない側の過剰使用によって、残存している周辺の脳領域に麻痺側の手足の脳領野が乗っ取られてしまうこともあります。手においては、手の中の筋肉が弱化してしまうと「学習性不使用」を助長してしまいます。

半球間抑制の神経回路メカニズム

3.半球間抑制

「半球間抑制」とは、左右の脳が抑制し合う神経現象のことです。例えば右手で触れた場合、左手で触れた感覚となることです。左右の大脳皮質は脳梁とよばれる情報の道でつながり、情報のやり取りをしながら巧みに混乱を防いでいます。片麻痺になると、「半球間抑制」が手足の麻痺の改善に悪影響を及ぼすことがあります。麻痺のない側の手足を過剰に使用しすぎると、麻痺側の手足の働きを抑制してしまうということです。あえて麻痺のない側の手足を、力が入りにくいポジションに調整するだけでも、麻痺した手足の力が入りやすくなることを経験します。
繰り返しADLの練習をされたとしても、麻痺のない側の手足を過剰に使用しすぎると、麻痺側の手足の力は出てきません。いかに麻痺側の手足の力が働きやすい状況に近づけるかで、麻痺した手足に力の入るチャンスが増えます。

アームスリングの箇所

4. アームスリングの長期使用

アームスリングは片麻痺発症後に、肩の亜脱臼が生じた場合、装着します。アームスリングは肘を曲げたポジションで使用するものが多いです。(現在は、肘を伸ばしたポジションで使用できるアームスリングもあります。)
アームスリングを長期で使用すると、肘を曲げたポジションでいることが多いため、筋肉の短縮が進んでしまいます。しかし、手の改善を考える際に、重要なことがあります。
手の改善のためには、Plausible Posture(もっともらしい肢位)が重要です。手は何かを操作するときに、本来あるべき位置に手がないと、脳からの指令がうまく働かないです。そのため、常に肘を曲げた状態では、脳からの指令を生み出すきっかけを失います。手が動くというイメージすら徐々にできなくなります。本来あるべき位置に手があるからこそ、動かそうという動機が生まれます。もちろん亜脱臼が強い場合は、アームスリングは必要です。大事なのは、亜脱臼が起こっている原因を分析して、それを踏まえたリハビリを行うことです。動作に合わせてPlausible Posture(もっともらしい肢位)でご自身の手を管理できることが、手が動くようになるために重要なことです。
脳梗塞リハビリBOT静岡では、アームスリングを装着している方が、どのようにリハビリを行えば、アームスリングを卒業できるのかを考えてリハビリを行います。
関連ページ:PT(理学療法士)・OT(作業療法士)の気づかせる技術

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加藤 隆三

この記事の監修者

加藤 隆三

理学療法士

2012年に常葉学園静岡リハビリテーション専門学校を卒業し、理学療法士免許を取得。資格取得後は整形外科やスポーツ現場、介護サービスにて様々な分野のリハビリテーションに携わる。介護現場ではお客様の生きがいや生活の質を高めることをコンセプトとした生活リハビリの業務に従事する。2018年から脳梗塞リハビリBOT静岡の所長に着任、脳梗塞の後遺症に悩まれている方のリハビリやご家族の支援も行う。また地域リハビリテーションにも力を入れており、介護予防教室を50回以上開催し、自立支援型ケア会議に参加している。その他、福祉用具専門相談員に対する講演や大学教授との共同研究等を行っている。地域の皆さんがいつまでも生きがいを持って生活できるよう、最善のリハビリを提供することを心がけている。

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